【広島市安芸区ユニバーサルデザイン住宅】すべての人に優しい家をつくるには？

2025年5月8日2025年5月21日

1. はじめに

家族構成や年齢、身体状況が異なるすべての人が安心して暮らせる住まい――それを実現するのがユニバーサルデザイン住宅です。段差をなくした床、使いやすい水回り、誰もが直感的に使える収納や扉の形など、住宅のあらゆる部分に「使う人へのやさしさ」が組み込まれています。

広島市安芸区では、高齢化の進行や多世代同居の増加により、このような住宅へのニーズが高まっています。

2. ユニバーサルデザイン住宅の基本的な考え方

ユニバーサルデザイン住宅は、「誰もが安全に、快適に、使いやすい」をコンセプトに設計されます。単なるバリアフリーとは異なり、子どもから高齢者、障がいを持つ方まで、すべての人が対象です。

2.1. バリアフリーとの違いとは？

よく混同されがちなバリアフリーとユニバーサルデザインですが、その目的と対象が異なります。バリアフリーは主に高齢者や障がい者向けに、既存の障壁を取り除くという考えに基づいています。一方、ユニバーサルデザインは初めからすべての人が利用しやすいよう設計するアプローチです。

たとえば、段差をなくすだけでなく、誰にとっても開けやすい引き戸の採用や、手の届きやすい高さのスイッチ配置などが含まれます。この考え方は、将来の介護を見据えた住宅や、多世代で暮らすご家庭に特に適しています。

2.2. 誰にとっても使いやすい動線と空間設計

ユニバーサルデザインの家では、移動や作業がしやすいように動線を意識した設計が重視されます。玄関からトイレ、キッチン、浴室までの移動がスムーズに行えるよう、ドアの幅を広めに取ったり、廊下の角を丸くしたりといった配慮がされています。

また、家具の配置にも工夫が施され、車椅子でもストレスなく回遊できるようなレイアウトが基本です。日常生活の中で「使いにくい」と感じるストレスをできるだけ減らし、どの世代にとっても自然で快適な動きができる空間が生まれます。

2.3. デザイン性と機能性の両立

「ユニバーサルデザイン＝無機質なデザイン」と思われがちですが、近年は機能性と美しさを兼ね備えた住まいが増えています。例えば、スロープや手すりもデザイン性の高い素材やカラーで仕上げることで、空間に自然に溶け込ませることが可能です。

アクセントクロスや照明、建具の選定にこだわることで、使いやすさと共に洗練された空間演出が実現できます。すべての人が快適に過ごせるだけでなく、訪れる人にも心地よさを感じてもらえる住まいが、ユニバーサルデザイン住宅の理想です。

3. 家族みんなが快適に暮らせる設計の工夫

家族の誰にとっても「ちょうどいい」と感じる住まいを目指すには、具体的な生活シーンを想定した設計が不可欠です。ここでは、日常の動作や家族構成の変化に対応するための設計工夫をご紹介します。

3.1. 段差解消と滑りにくい床材の採用

住まいの中で事故が起きやすいポイントの一つが「段差」と「滑りやすい床材」です。ユニバーサルデザイン住宅では、玄関やトイレ、浴室といった生活動線上の段差を徹底的になくし、フラットな床面を保つ設計が基本です。

また、転倒リスクを軽減するため、床材には滑りにくく足音が響きにくい素材を使用します。たとえば、クッションフロアや滑り止め加工されたフローリングなどは、高齢者や子どもにとって安心して歩ける床材です。見た目の美しさだけでなく、安全性を意識した素材選びが大切です。

3.2. 水回りにおける配慮と柔軟性

トイレや浴室、キッチンなどの水回りは、日常生活で最も利用頻度が高く、使いやすさが求められる場所です。トイレには手すりや広めのスペースを確保し、将来的に介助が必要になった際にも対応できる設計が理想です。浴室では、またぎやすい高さの浴槽や、滑りにくい床、移動を助けるバーの設置が有効です。

キッチンでは、作業台の高さを調整可能にしたり、足元が広くとられていたりすることで、車椅子利用者にも配慮できます。使いやすさと安全性の両方を考えた水回りの設計は、家族全員の生活の質を高めます。

3.3. 将来を見据えた間取りと可変性

今は問題がなくても、将来家族のライフステージが変化したときに柔軟に対応できる間取りも、ユニバーサルデザインの重要な考え方です。例えば、部屋の間仕切りを可動式にすることで、将来的に1部屋を2部屋に分けたり、逆に広いスペースにまとめたりといった変更が可能になります。

また、空き部屋を将来の介護スペースとして使えるよう、廊下や出入口の幅を広めに設計しておくこともポイントです。見た目や今の快適さだけでなく、先を見越した設計によって、長く暮らせる住まいが完成します。

4. ユニバーサルデザイン住宅の事例と実践ポイント

ユニバーサルデザイン住宅を成功させるためには、実際の生活に寄り添った設計が欠かせません。ここでは実際に多くのご家庭で採用されている事例と、取り入れる際の実践的なポイントをご紹介します。

4.1. 高齢者との同居に配慮したリビング設計

多世代で暮らす家庭では、家族全員が集まるリビングの設計にユニバーサルデザインの考えを取り入れることで、過ごしやすさが格段に向上します。具体的には、床の段差をなくすだけでなく、家具の角を丸くしたり、テレビや照明のリモコンを見やすい位置にまとめて配置するなど、高齢者の視点に立った細かな工夫がポイントです。

また、座面が高めのソファを選ぶことで、立ち座りの負担を軽減する効果もあります。家族が自然に集まり、誰もがリラックスできる空間を作ることが、ユニバーサルデザインの実践につながります。

4.2. 子育て世帯に嬉しい動線と安全設計

小さなお子さまがいるご家庭では、ケガの予防や安心して遊べる空間が求められます。例えば、階段に手すりを2段設置したり、指詰め防止の扉を取り付けるなど、安全面の配慮が重要です。また、玄関からリビング、キッチンまでの動線をスムーズにすることで、家事の効率が上がり、育児中のストレス軽減にもつながります。

さらに、低めの収納や可動棚を採用すれば、お子さま自身が片づけをしやすくなり、自然と自立心を育む設計が可能です。子どもも大人も安心して暮らせる住宅づくりが、ユニバーサルデザインの核となります。

4.3. 長く快適に暮らすためのメンテナンス性

ユニバーサルデザイン住宅では、長期的な視点で「住まいを維持する」工夫も重要です。たとえば、掃除のしやすい床材や、交換しやすい水まわり設備を選ぶことで、将来的なメンテナンス費用を抑えることができます。また、換気や採光にも配慮し、カビや結露の発生を防ぐことで、家の健康寿命を延ばす効果も期待できます。

さらに、配線や配管の位置を工夫しておくことで、後からの設備変更も容易になります。「使いやすさ」だけでなく「手入れのしやすさ」も重視することで、長く快適に住み続けられる住宅が完成します。

5. まとめ

ユニバーサルデザイン住宅は、年齢や身体的状況に関係なく、すべての人が安全に快適に過ごせる空間を目指した住まいです。段差の解消、動線の工夫、水回りの使いやすさ、そして将来的なライフスタイルの変化にも対応できる可変性など、設計には多くの工夫が込められています。さらに、デザイン性にもこだわることで、機能だけでなく美しさや居心地の良さも追求することができます。

広島市安芸区でも、高齢化や多世代同居の増加により、このユニバーサルデザインの考え方はますます注目されています。特にリビングや水まわり、玄関など、日常生活で多く使うスペースから改善を進めていくことで、暮らしの質は格段に向上します。また、将来を見据えたリフォームをしておくことで、介護や子育てのしやすさにもつながり、家族全員にとって安心できる住まいを築くことができます。

今すぐにすべてを変える必要はありませんが、まずは小さな部分からユニバーサルデザインを取り入れてみてはいかがでしょうか？「誰もが心地よい」と感じられる空間は、家族の絆を深め、日々の暮らしにゆとりと笑顔をもたらしてくれるはずです。お住まいの不便さを少しでも感じている方は、ぜひこの機会に住まいのあり方を見直し、専門業者にご相談されることをおすすめします。